出典:『クシェーメーンドラの作品中の仏伝の研究』
著者:岩井昌悟
この「釈迦族の起源」は真実を語り、他の情報と併せて龍海にはハッキリと元になった王族を理解出来る情報源になっています、釈迦族を研究する人には有益な情報となると思います。
注意:発音記号は再現出来ないものもあったので、参考程度にして下さい。
「(27)釈迦族の起源
ある一つの、長大で、繁栄する家系が、立居振舞が優美なる(美しい円形の)、功徳を積むことを好む(糸で連ねられるに相応しい)、清浄な光線でまばゆい光を示す、健康な(真珠からなる)、世の飾りである宝石[である人]を生む。(1)
かつて、カピラヴァストウで、ニャグローダ樹園に安住していた世尊・如来に、釈迦族の者たちが、自身の家系について尋ねた。(2)
彼らに尋ねられた彼(世尊)は、清らかな知見を目連に擾けてから、彼に、自身の家系の起源を最初に語ることを委任した。(3))
彼(目連)は、智眼によって過去をありのままに見て、想起して、被らに言った。「釈加族の起源をお聞きなさい。(4)
この全世界が、かつて、水からなり、一つの大海であった時に、風との接独によって、水(payas)が乳(payas)のようになった。(5)
その水が、濃厚性によって、徐々に凝固した時に、色・味・触・声・香からなる大地と
なった。(6)
そこに、業の尽きたことによって、光音天から落ちた 、そのままの容貎をそなえた、精神と体力において勝れた衆生たち(sattväh)が、[大地の]味を指で味わい、それに対する渇愛によって甚だ惑わされ、食物の害より、[体が]車くなり、[肌が]乾き荒れて色褪せてしまった。(7-8)
大地が、順次、彼らに食物(anna)を産出した。そして、迷闇によって荒廃した彼らは、十地と家を所有した。(9)
彼らの指導者は、人地の守護(kşitipälana)において、損害から護ること(kşatitrā-ņa)から、クシャトリヤ(kşatriya)であり、多くの人々によって尊ばれ(janasyamahato matah)、「マハーサンマタ(Mahāsammata)という名であった。(10)
彼の偉人なる子孫に、栄えあるウポーシャダ王があって、花のような名声は萎れることなく、まるで大洋にあるサンゴのようであった。(11)
彼の子は、胎生ならざる、転輪聖王・マーンダートリで、世に唯一の王である彼の家系は偉人であった。(12)
千の家系をもつ彼の家系にクリキ王があって、世尊・カーシュヤパが、彼(クリキ)の心を清らかにした。(13)
彼の子孫にイクシュヴァーク[王]、そして、その[子孫に]ヴィルーダカ[王]があった。彼は、一番下の子に対する愛情から、上の子たちを追放した。(14)
それから、全員が一緒になって、自国に対する切望をなくした王子たちは、大仙・カピラの住処に行った。(15)
彼らが、子供であるが故に、声高にしゃべって瞑想時の障礙になるので、彼(カピラ仙)は、他所に、カピラヴァストウという名の、彼らの都を化作した。(16)
時を経て、[ヴィルーダカ]王は息子[たち]に対する愛情から、悔やんで、大臣たちに「彼ら王子たちを引き戻してくれ」と言った。(17)
大臣たちは皆、彼(王)に言った。「王よ、彼らは、最上の都を獲得し、子孫を有して非常に繁栄しております。引き戻すことはできません」(18)
このように、彼らの父親が[息子たちを引き戻すことの]できる(sakya)、できない(asakya)を考察した時に、彼らは「シャーキヤ」という名になった。彼ら(ヴィルーダカの息子ら)の内ヌリプラが子孫を残した。(19)
彼(ヌリプラ)の家系において、五万五千人の王が過ぎ去った時に、栄えあるダシャラタ王があった。(20)
彼の子孫にシンハハヌ王があって、戦においては、象のような諸王が、獅子のような彼に太刀打ち出来なかった。(21)
彼の長男がシュッドーダナで、次男がシュクローダナ、その下がドローノーダナ、末子がアムリトーダナ。
四人の娘は、シュッダーという名の[娘]とシュクラーとドローナーとアムリター。
シュッドーダナの息子が、世尊と次男のナンダ。(23)
シュクローダナの二人の息子が、ティシュヤという子と、それからバドリカ。また、ドローノーダナの二人の息子が、アニルッダとマハット。(25)
アーナンダとデーヴァダッタという二人がアムリトーダナから生まれた、シュッダーの子がスプラブッダ、そしてシュクラーの子がマーリカ。(25)
そして、ドローナーの子がバドラーニ、また、アムリターの子がヴァイシャールヤ。 世尊の子息がラーフラである。彼(ラーフラ)で家系は完結した。(26)
以上のように、智慧に満ちた彼(目連)によって、輝かしい家系が正しく語られるのを聞いて、釈迦族の者たちは、世尊の威神力によって生じた卓越により、清らかになった。(27)
以上でクシェーメーンドラ作、ボーディサットヴァ・アヴァダーナ・カルパラターの第27章「釈迦族の起源」を終わる。」