2025.07.11 02:28『九鬼文書の研究』に紹介された蘇民将来の話②出典:『九鬼文書の研究』「Ⅰ 熊野修験行者之精神と道しるべ」P.9「むかし北海の国に坐(ま)しし武塔神(たけあらきのかみ)、南海の国の神の女子をよばいに出でますに、日暮れたり。彼所(かしこ)(備後国、疫隅社のほとり)に将来二人ありき。兄を蘇民将来という。いと貧窮(まずし)かりき。弟を巨旦将来という。富み饒(ゆたか)にして屋舎(いえい)一百ありき。ここに武塔神、宿所を借り給うに借しみて貸しまつらず。兄蘇民将来貸し奉る。即ち粟柄を以て座(むしろ)となし粟の飯などを以て饗し奉る。饗し奉ること既に畢(おは)りて武塔神出でませり。後に年を経て八柱の子を率いて還り来まして詔り給はく。我れ之れがために報答(むくい)せんとおもう。汝子孫在りやと問い給う。蘇民将来答えて...
2025.07.11 02:26『九鬼文書の研究』に紹介された蘇民将来の話①出典:『三国相伝陰陽輨轄簠簋内伝金烏玉兎集』安倍晴明著「前略 ・・・・・・ここに南天竺の傍らに一の夜叉国あり。広遠国(出口聖師著には日本国に該当するという)という。その国の鬼王を巨旦大王と名づく。天王(筆者註 ・・・牛頭天王。以下同じ)彼の門に到りて宿を乞う。鬼王許さず。天王去りて千里の松園に至る。一の賤女有り。天王問うて曰く。汝室宅有りや。女の曰く吾は則ち巨旦の婢なり。東一里、曠野の中に蘇民将来の庵あり。貧賤にして禄乏(ろくとぼ)しと雖も、慈愛の志を抱く。宜しく彼に往きて宿を求むべし。天王東に向って彼の野中に到り、彼の庵を見る。主は老翁なり。天王宿を問う。将来笑って曰く。貧賤の家豈若干の眷属を留めんや。天王曰く。我独り宿せば則ち可なり。時に将来梁の茎...